通常、ドイツ音大留学というと、日本で音大を卒業した方が大学院へ行く、あるいは大学入学後にドイツ音大を目指すという方が多いのではないでしょうか。
ドイツ音大を目指すきっかけは人それぞれですが、おすすめできる一つの理由としてよく取り上げられるのが「学費が安い」という点です。
ただ、日本の音大を卒業してからとなると、すでに相当な出費の後💦
(私の母)
- 音大ってお金がかかる・・。
- 音高で既にお金を使い果たしてしまった。
- その上海外留学なんてまさかね・・💦
では、いっそ、高校卒業後すぐドイツ音大へ進学するという道を目指してはいかがでしょうか✨
このページでは、現在ドイツ音大に通いながらドイツで暮らす私が自分の経験、そして周りの友人の話を基に、ドイツで暮らす音大生が毎月いくら必要とするのか、ご紹介します。
実際に高校を卒業してすぐドイツ音大に進学した場合にかかる費用はどれくらい?という視点から書いています。
もちろん、月々に必要なお金は人によって差がありますが、大体の目安としてお読みいただけると幸いです。
ドイツの音大は学費が安い?!日本と比べると・・
ドイツ音大 学費は安いです
先に結論をお伝えしますが、ドイツの音大は学費がかなり安いです。
私が通うロストック音楽大学は現在2022年の時点で1年間でかかる学費が合わせて416€(約54,000円)です。
これは、ドイツ全体でみても安い方ではありますが、そうでなくてもドイツの音大は(日本と比べると)比較的学費が安いです。
ここでは分かりやすいように「学費」と言っていますが、ドイツの公立・州立の大学は
「学費」は、なんと基本的に無料✨です。
かかっているお金は全て、大学の生徒会、市内の公共機関乗り放題チケットなどの料金です。これら料金を「Semesterbeitrag(ゼメスター費)」と呼び、半年に1度大学へ振り込みます。
以下、いくつかの音大の「ゼメスター費」をまとめました。(2022年2月時点)
※日本円は1ユーロ=130円で計算しています。
半年分の料金です。1か月にかかる料金は表示金額の6分の1になります。
大学名 | 1ゼメスター(半年)にかかる料金 |
---|---|
ベルリン芸術大学(UDK Universität der Künste Berlin) | 313,09€ (約40,700円) |
ハンスアイスラーベルリン音楽大学(Hochschule für Musik Hans Eisler Berlin) | 307,08€(約40,025円) |
ハンブルグ音楽大学(Hochschule für Musik und theater Hamburg) | 334,40€(約43,472円) |
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ・ライプチッヒ音楽舞台大学(Hochschule für Musik und theater “Felix Mendelssohn Bartholdy” Leipzig ) | 240,00€(約31,200円) |
ロストック音楽大学(Hochschule für Musik und Theater Rostock) | 208,00€(約27,040円) |
リューベック音楽大学(Hochschule für Musik Lübeck) | 251,80€(約32,734円) |
フランクフルト音楽演劇大学(Hochschule für Musik und Darstellende Kunst Frankfurt am Main) | 358,81€(約46,645円) |
マンハイム音楽演劇大学(Hochschule für Musik und Darstellende Kunst Mannheim) | 700,00€(約91,000円) |
カールスルーエ音楽大学(Hochschule für Musik Karlsruhe) | 2.100,00€*1(約273,000円) |
シュトゥットガルト音楽演劇芸術大学(Hochschule für Musik und Darstellende Kunst Stuttgart) | 191,00€(約24,830円) |
トロッシンゲン音楽大学(Hochschule für Musik Trossingen) | 1.611,50*2(約209,495円) |
フランツ・リスト ワイマール音楽大学(Hochschule für Musik Franz List Weimar) | 191,20€(約24,856円) |
*2基本料金111,50€+外国人留学生にかかる料金1.500€の合計金額
私立の場合
上記大学リストに私立の音楽大学は含まれません。
私立の大学では、希望する学部や在籍期間、学科などにより学費が細かく分けられていることが多いです。
例えば、日本人が多く在籍するハンブルク音楽院(私立)の学費は「Bachelor Musik in Praxis und Lehre」という学部で年間5.340 €(約694,200円)の学費がかかります。
ドイツの他の公立大学と比べると高いですが、日本の私立大学に比べればかなり安いです。
ドイツで暮らすために必要なお金
さて、上の料金表を見ると、大体1学期につき200€~1,500€程がドイツ音大の学費(ゼメスター費)の相場であることが分かります。
ただ、ドイツで暮らす場合は学費以外にも必ず用意しなければいけないお金があります。
滞在許可(ビザ)取得にかかるお金
学費以外に必要なお金というのが、滞在許可(Aufenthaltstitel)取得にかかる料金です。
ここでいう「取得」にかかるお金というのは、滞在許可「発行」にかかる料金ではありません。
滞在許可発行にかかる料金は1回につき大体100€。(私は93€でした。)
ドイツの外国人局が指定している、「外国人がドイツで暮らす為に必要とする毎月の最低収入」というものがあります。
その金額、861ユーロ/月。(約112,000円)
高いと思うか、妥当と思うかは人それぞれかもしれません。
学費の料金がどうであっても、ドイツで暮らす為にはどちらにせよ毎月861ユーロ以上の仕送り/収入が必要です。
奨学金もOK!
収入として、親からの仕送り以外に奨学金も認められます。
そして、ドイツの音大は日本よりも奨学金の種類が多く、充実しているように感じます。
私もずっと奨学金を使ってビザ申請を乗り越えてきました。
私の場合、複数の機関から奨学金(給付。返済義務なし。)を頂いていたので仕送りはほぼゼロ! 演奏活動による収入にも助けられてきました。
今からドイツの音大を目指そうとしている方は、入学前から奨学金の事をよく調べておいた方がいいと思います。
大学に入ってから調べていては、期限が過ぎてしまっていたりタイミングが合わなかったりして、あっという間に卒業の時が来てしまいます。
法定健康保険
最後に1つ、健康保険についてです。
音大に在籍する為には、健康保険に加入しなければいけません。
というより、ドイツで暮らすのであれば健康保険に入っていなければ滞在許可を得られません。
ドイツには大きく分けて2種類「法定健康保険(Gesetzliche Krankenkasse)」と「プライベート健康保険(Private Krankenversicherung)」がありますが、音大に入学する場合「法定健康保険」を必要とする大学が多いです。
法定健康保険は加入会社によって金額は多少異なりますが、どこも大体100ユーロ前後。
携帯通信料は安い!
ちなみに、日本では携帯通信料が高いことが度々問題提起されていますが、ドイツはとっても安いです。
毎月かかる金額をまとめると・・
個人差はありますが、月々に必要なお金は大体ビザ取得に必要な861ユーロの範囲でまかなえます。
この861ユーロというのは、滞在許可(ビザ)取得の際必要とされる毎月の収入金額で、ドイツに留学するのであれば必ず必要になる金額です。(2022年時点)
参考までに、私の毎月の出費はこのぐらい⇩
家賃 | 340€ |
ピアノ(アップライト) | 145€ |
健康保険 | 110€ |
大学のゼメスター費(6か月で分割) | 35€ |
インターネット回線 | 17€ |
光熱費 | 15€ |
携帯通信料 | 10€ |
食費・その他もろもろ | 130€ |
合計 | 802€ |
802ユーロ/月。
大体、こんなものです。
ちなみに、このページでは円換算を全て1ユーロ=130円で行っていますが、時期によっては1ユーロ=120円ぐらいになっていることもあるので、そういう時は大分安くなります。
ドイツ音大、目指してみませんか?
一口に音大といっても、それにかかる費用は場所によって大きく異なります。
もちろん、どこへ行くにしてもある程度のお金は必要ですが、ドイツであれば学費は無料、その他家賃や生活費も工夫次第でかなり安く済ませることができます。
ドイツは学生にとても優しい国です。
学生であれば、市内のバスやトラムも乗り放題✨(料金はゼメスター費に含まれます。)
日本の音大に進むことを思えば、渡航費を含めても、かなりお得に大学へ通う事ができます。
さらに私は何よりも、ドイツだから、そして留学をしたからこそ、学べることがたくさんありました。
周りの日本人の方々をみてもみなさん同じようなことを言っています。
「安いのももちろん嬉しいけど、何よりもこの経験が他の何にも代えられない、非常に大きな価値のあるもの」
私も本当にそう思います。
大変なことも多くありますが、それ以上に得られるものがたっっくさんあります。
音大進学を考えていらっしゃる方、進学先としてドイツはいかがですか?
この記事ではドイツの暮らしについて、主に金銭面において、実際の様子をお伝えしました。
音大留学を考えていらっしゃる方々の何かの足掛かりになれば幸いです。