ドイツの音大生って?~教育実習のための授業「Lehrpraxis」編~

妹が書いた記事

こんにちは、妹です。

日曜日はやはりお店も閉まっていて人が少ないので歩いていて気持ちがいいです。

今回の「音大生ってなにしてるのシリーズその③」では、ドイツの音大に通う人が大学生活の後半に取らなければいけない授業「Lehrpraxis」についてご紹介します☺

大学内での教育実習!?

「Lehrpraxis」とは翻訳すると「教育実習」という意味です。8ゼメスター(ゼメスター=学期)ある大学生活のうち5.6ゼメスターで取ることになっています。

普通の小中学校に行って子供たちに教えなければいけないのか?というとそうではなくて、教える対象は同じ音大で学ぶ学生です(笑)

教えるものはズバリ自分の専攻する楽器で、例えばピアノ科の人はピアノを教えることになります。

「生徒さん役」としてきた学生はその授業を取っている学生(=先生役の学生)に例えばピアノを教えてもらうわけなのですが、ここで評価を付けられるのは生徒役の学生ではなく先生役をしている学生です。

わたし
わたし

なので、生徒さん役の人は必ずしも完璧に弾けている必要はないのです。どちらかというと、弾けていない箇所もあった方が先生役の人には良いかもしれません。

生徒さん不足な現場

このLehrpraxis、誰かに自分の専攻する楽器を教えるのが目的のため、生徒さんがいないと授業が始まりません。

ただ生徒さん役を引き受けてくれる人がいないことが多いのが現実。

そういう時にはその楽器の専科同士で教えあいます。(気まずい💦)

わたし
わたし

専科同士(その楽器を専攻していてもう既にバリバリ弾けている人同士)で教えあうのって、何を教えるのでしょうか。難しそうです。

人数の多いピアノ科の場合は生徒さん役をしてくれる人も多く、このLehrpraxisの授業が成り立っているのが通常運転のようです。

が、聞いたところによるとヴァイオリン科はまず生徒さん役を引き受けてくれる人を探すところから既に苦戦する模様。。

私は今4ゼメスター目ですから、次のゼメスターにはもうLehrpraxisの授業が待ち構えています。はたして私は生徒さん役になってくれる学生を見つけられるのでしょうか?

実際に生徒さん役を引き受けてみた 

私の専攻はヴァイオリンです。ヴァイオリン専攻の人は、副科ピアノを必修で取らなければいけません。

そういうわけで普段ピアノを教えてくださっている副科ピアノの先生を通じたご縁があり、私も生徒としてLehrpraxisの授業に参加することができました♪

授業の始まり方はいたって普通のレッスンと同じ。

軽く挨拶をしてから、今日持ってきた曲をまずは通して演奏します。

(その先生役の人に教えてもらうのが一回目の場合です。2回目の授業の場合は、初めから細かいところを教えてもらう場合も。)

それから先生役の学生が「良かったよ、テンポがいい感じだった~」とか言って、全体を通して聞いた感想をコメントします。

教授からストップがかかる

ただこの授業では「どうやって人にうまく教えられるか」の方法を考えたり、またはそのやり方を習得することが目的。

ある日のLehrpraxisの授業で「ここは良かったよね~。ここもいい感じだった。」と先生(学生)が私の弾いた曲に関してのコメントを出していると、その様子を見守っていた教授(このLehrpraxisの授業を取りまとめていらっしゃる教授。)からドクターストップならぬ先生ストップが!

教授
教授

「どこが具体的に良くて、どうしたらもっといい方向にこの曲を研究していけるのか、具体的な練習方法の提案などもした方が生徒さんには分かりやすいよね」

確かにその通りだなあ!だけど、それをドイツ語で伝えるのって難しそうだ。。

そう、この時の授業では先生役の学生は日本人で私も日本人。

授業中は、お互いに日本人同士でありながらお互いにドイツ語を使って会話するという気まずい空気が流れていたのでした。

ですがここはドイツ語で乗り切るしかない場面。こういう時、生徒役(自分)の語学力も問われます。

結果的に、「教える技術を持っていることも大事だけどその前に語学力もなくてはいけない。」ということを実感しました。

2人目の先生のこなれ感

そうして1人目の先生とお別れして数日、今度はまた別の先生に教えてもらうことになりました。

わたし
わたし

先生との出会いがたくさん!☻

今度の先生は姉曰く「教えることに対して慣れていて、授業がとてもスムーズに進むよ~」とのこと。

なにやら厳しそうな気配を感じ取ったので前回より緊張しながら部屋に向かうと、そこにはメガネをかけた大きな人が。👓

彼は今までにも何人もの生徒さん(学生)に教えてきていて、だから誰かに教える経験値が豊富なんだそう。

私も彼をパッと見てそんな雰囲気を感じました。

いつも通りにまずは一曲通して弾いて、先生の感想を待ちます。

すると

先生役(ドイツ人)
先生役(ドイツ人)

いいね!流れも良かったし、音楽的にも持っていき方が良かったよ。ところでここの最初のフレーズなんだけど、もうちょっとメロディーが一つの線になるようなイメージで引っ張られていく感じで弾いてみてもらえるかな?音と音の間の隙間を埋めるイメージだね。

最初のコメントから具体的です。その後も先生の細かい指摘とお手本演奏が続き、気が付くと2時間経過していました。

高度なドイツ語でのレッスンに(今回の先生はドイツ人です。)必死に追いつこうと頑張る私と、レッスンをどんどん進めていきたい先生。

お互いものすごく集中していて、2人とも汗だく。

狭いレッスン室には私と先生と教授のほかにも聴講生が4人ほどいたので、この日のレッスン室は人口密度が高いのもあって全体的に湿気たっぷりだったのでした。

その日の授業は1回も先生ストップがかかることなく終了しました。

わたし
わたし

彼のレッスンを受けてみて、大学生で既にこんなに教えることに長けている人がいるのか!と圧倒されました。

おわりに

先生役になって誰かに楽器を教える授業、Lehrpraxis。

来ゼメスターで取らなければいけないと思うと、今からドキドキです。

参加させていただいた授業を通して印象に残ったのは、相手に自分の伝えたいことを完全に理解してもらうことは簡単なことではなく、さらに自分が教えることに対しての相手への責任感の意識も必要だ、ということです。

行き当たりばったりのレッスンだと、生徒側も不安になる。

特に語学力に改善の余地がある場合、先生側と生徒側の意思疎通がスムーズにいかないことも多く、母国語を使う者同士でのレッスンとはまた違う難しい技術が求められるなあと思いました。

それと同時に自分の専攻楽器を教えてくださっている教授の普段のレッスンを思い返し、それが進め方がいかにスムーズで分かりやすく、為になるものなのかをより実感した授業でした。

私の教える授業は一体どんな風になるでしょうか?そもそも生徒さん役が見つかるのかも確かではありませんが。。(生徒さん役がいないと、授業が開講できないんです。)

もし教えることになったら絶対に緊張すると思いますが、でもちょっと楽しみにしています。

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