【#49】弦の歴史を調べてみる

妹が書いた記事

こんにちは!

今回は【ヴァイオリンの弦について】ご紹介します。

ヴァイオリンを学んでいるにも関わらず「元々は羊の腸から作られていたけれど、現在はナイロン/スチールから作られた弦も多く普及している」くらいのことしか知らず、これはちょっと(いやかなり)良くないと思い、この機会に弦について色々と調べてみました。

ガット弦を作る上で、想像以上多くの工程が手作業であるということに動画を見て驚きました。非常に細かくて、職人技で、惚れ惚れします。

16世紀の半ばにヴァイオリンが誕生した時から、弦はヴァイオリンの響きに大きな影響を与えるものでした。

今日では弦にはいくつか種類があり、

ガット弦:最も歴史のある、古くからあらゆる弦楽器の弦に使われてきた弦です。羊の腸から作られます。音色が豊かで温かみもありますが、ピッチが不安定なのと切れやすいのが短所。豊かな音色を求めてガット弦を愛用する演奏家も多いようです。

スチール弦:らせん状にまとめた鉄線を、アルミや銀線でまいています。ガット弦のような音の柔らかさは期待できないものの、低価格であることとピッチの安定性から中学校や高校のオーケストラで人気。初心者の方におすすめの弦です。

ナイロン弦:弦の歴史上最も後に誕生した弦です。1935年にナイロンの合成が成功してから、次々にナイロン製品が作り出されました。弦もそのうちの1つで、ドミナントを製造する トマスティーク・インフェルド社も当時いち早くこのナイロンに目を付け、スチール弦で得られた資金でナイロン弦の開発に力を注ぎ、現在の世界中から支持される有名なドミナントを世に生み出しました。

ナイロン弦とは、その名の通り芯材がナイロンの巻線です。繊維が均一であるため何かと不安定になりやすいガット弦より取り扱いやすく、またスチール弦よりしなやかです。

モーツァルトの父
モーツァルトの父

「弦選びは、とっても重要!」

自身も宮廷副楽長として活躍したレオポルト・モーツァルト(モーツァルトの父)(1719 ~ 1787)が、ガット弦について彼の著作『 バイオリン奏法 』 の中で興味深いことを述べています。

「バイオリンには4本の弦が張られていて、それぞれの弦は、他に関連して適切な太さでなければなりません。 私は ” 適切な太さ ” と言いましたが、他との釣合いにおいて、1本の弦が少しでも太かったら、均一なよい音色を出すことは不可能だからです。~中略~しかし、均一につくられた太い弦を見つけるのはなんと困難なことでしょう。 それらは、一方の端は他方の端よりたいてい太いのではないでしょうか。 不均一な弦で確かな試験をどうやってすることができるでしょうか。 従って、弦を選ぶことは最大の注意をはらって行い、単に行き当たりばったりで選んではいけない、ということに気付いて頂きたいと思います。 」( ” Versuch einer Grundlichen Violinschule ” L.Mozart / 『 バイオリン奏法 』 塚原哲夫訳・全音出版より引用させていただきました。)

彼が演奏家として活躍していた当時は現在のような高度な技術は無かったはずで、それを考えると最高な弦と出会うことは難しかったに違いありません。

↑興味がある方はガット弦についてこちらの動画もどうぞ☺

弦の歴史を大きく変えた技術の中には『 高炭素鋼線材を加熱し オーステナイト化した後に500℃から600℃くらいに急冷し、さらに常温まで空冷する操作技術 』があります。(難しい!)

この技術は1854年に世界で初めてイギリスが特許法を取得したものです。

それまでスチール弦として製造されたのはすべて低炭素線材を加工したものだったので、この技術が開発されたことで一気に弦の開発も進みました。

例えば1900年にグスタフ・レンツナーが創業した レンツナー社 ( Lenzner )はこの技法により 1900年代前半にゴールドブロカットE線 ( Goldbrokat )を発売し、現在でもヴァイオリンE線と言ったらゴールドブラカットという程高い人気を誇っています。

(私もE線はゴールドブラカットを使用しています。コスパも良いのでお気に入りです。)

弦の歴史をざっくりと学んでみて、今の形に仕上がるまでに多くの段階が踏まれていったんだなあと思いました。弦は、音を低くするために太くしなければいけなかったのですが(そのままでは低い音域をだすために何メートルもの弦が必要になってしまうため)太い弦を作り出すにもかなりの労力が必要で、しかもミリ単位以上の細かい作業をズレなくこなす、というのは想像しただけでも肩が凝ってきそうです。

ガット弦は今まで使用したことがないのですが、機会があれば一度試してみたいです。切れやすいと聞くと、ちょっとしたことでバチーンと切れないか心配になってしまって何となく手が出せずにいたのですが、ガット弦の特色である豊かな音色というのがどのようなものか興味をそそられます☺

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